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第7回企業家賞記念講演
「デジタル情報革命の未来!」ソフトバンク 孫正義社長
「デイリーファッション革命、しまむらの挑戦」しまむら 藤原秀次郎会長
「デジタル情報革命の未来!」ソフトバンク社長 孫 正義
 講演するソフトバンク孫正義社長

世界に先駆けヤフー BB で格安なブロードバンドインフラを確立、多くのネットベンチャー誕生の基礎を築いた孫正義氏。最近では福岡ソフトバンクホークスによって閉塞ぎみの野球界に新風を吹き込んだ。携帯電話事業の参入も間近となり、デジタル情報革命は急ピッチに進む。その未来展望と、激動の時代における企業家の心構えについて語った。

デジタル情報社会で世界一のインフラを持つ日本
人々は、革命によって社会を変えてきました。十八世紀までは、農作物を作る人口が多い国が競争力を持っていましたが、十九世紀には産業革命が起こり、電気をいち早く普及させた国が覇権を握りました。そして二十世紀の工業社会では、電気やガソリンを最大限活用した国々が 競争力を持ち、発展を遂げました。

競争力には二つのキーワードがあります。進化の源泉である「スピード」(物を運ぶ速さ)、普及の源泉である「コスト」(価格)です。そして今、デジタル情報革命の時代を迎えた日本のインフラのスピードは、二番手の欧米に対し百倍、価格は五十分の一。これは決定的な事件 です。かつて歴史でナンバーワンになった国は、その時代でのスピード・コストがナンバーワンのインフラを手に入れて国際競争力を持ってきました。ただ、日本は数千年の歴史の中で、一度として世界一のインフラを手にしたことがなかった。しかし今、日本は二十一世紀で最も重 要なデジタル情報社会のインフラを持っているのです。

もちろんこれは偶然ではありません。NTTが情報社会のインフラを担っていた百年もの間、日本の電話は世界一高く遅いと言われてきました。私はそれが悔しかった。ヤフーやイー・トレード証券を創業するなど努力しましたが、いかんせんインフラが高い遅いでは話にならない。 それで、世界一スピードが早く、価格が世界一安いブロードバンドを作ろうと決意したのです。もちろん、多くの方に「なんと無謀な戦いに手を出すのだ」と忠告を受けました。相手は社員だけでも二十万人を擁する、日本屈指の強大な会社です。しかし私は百年に一度は勝負すべき 時があると思った。自分の事業家としての命運を懸ける!そんな決死の覚悟でこの戦いに突入したのです。

勝算はありました。ソフトバンク本体がインフラの先行投資で始め数年間大赤字となり、競合他社が価格で対抗してきても、日本のブロードバンド環境が世界一になれば、ヤフーで事業を拡大することができる。グループ全体で考えれば、収益は上がるはず。そう信じ、前代未聞の 三年連続一千億円の赤字を出しつつ戦ってきたのですが、おかげさまで今年、ブロードバンドで利益が出る目処が立ちました。苦しい先行投資の時期は越えました。今後はこのインフラを最大限に活用し、インターネットユーザーにデジタル情報社会におけるサービスを続々提供でき ると考えています。

ブロードバンドは、単なる一過性の「ブーム消費」ではありません。徐々に社会に普及し、普及後は二度と普及率が下がらない「ライフスタイル消費」です。インターネット利用者に対するブロードバンドの世帯普及率はすでに六割を越えました。今後はテレビ、携帯電話、新聞な どあらゆるものがブロードバンドのインフラにのって、今までと異なるライフスタイルを形づくっていくでしょう。

三百年のスパンで経営を考える
そういったテクノロジーの進化による社会の激変をプラスに捉え、激動期にこそ事業を興すのが企業家の役割です。ソフトバンクも今でこそ八百社を擁する一大グループですが、十年前はグループ全体で十社という規模でした。当時私は経営会議で「これから十年二十年の間に、グ ループ会社を千社にする」と宣言しました。「何を根拠に」とその場にいた全員が笑いましたが、「するんだと思うことが根拠だ」と切り返したのを覚えています。

千社をめざそうと決めたのは、まさに革命期で時間が無い今、多くの会社が同時多発的に事業を進めないとチャンスを取り逃がしてしまうからです。あと、東京証券取引所を設立し、日本の事業家の総本山と名高い渋沢栄一さんが五百社の設立・上場に関わったと聞き「彼が五百社 なら俺は千社だ」と思ったからです。今後二十年くらいで、グループ会社を五千社にしたい。十年で百倍にできたのだから、五倍にできないはずがありません。

ただ、「八百人の社長がいれば誰かは上手くやるだろう」とおおらかなスタンスをとっています。この七?八年、百社ほど統合するか潰すかしていますよ(笑)。しかし、現在の八百社はネットバブルを生き抜いた強い会社です。彼らは自ら意思決定を行うことで業績を伸ばしてい ます。とはいえ、「ソフトバンクという一つの会社にまとめた方が経営効率がいいのではないか」とよく言われますね。それでもこの経営スタイルを貫いているのは、三十年のスパンで見れば非効率でも、三百年のスパンで考えると一番安全、かつ一番拡大できる方法だからです。ど のくらいの単位でモノを見るかによって、経営スタイルは変わります。

そもそも、デジタル情報社会では、工業社会の競争力を決めた大規模な工場・巨額の資本はいりません。インターネットのインフラを提供するソフトバンクは別ですが、ソフトバンクグループ七百九十九社も、十人もいれば立派な会社です。デジタル情報社会における競争力は、人 間の知恵の力に比例します。たった一人でも頭がいい人が強い会社が生まれるのです。

社員手帳を肌身離さず持ち歩き、決まった時間に社歌を歌う時代は終わりました。頭のいい若い人たちは、その事に気づいています。ホリエモンが、社歌を歌っている様子を想像できますか(笑)?彼のように、ワガママで頭が良く変な人の自我を満足させ、彼らが自ら喜んで仕事 するような場を提供しないと、生き残っていけないでしょう。そう考えても、「やりたい人だけが集まって会社を作る」ソフトバンクのグループ戦略は時代に合っていると思います。

生き残るための体力を越えたら退却
現在、インフラとしてのヤフーBBは、国内一千百万世帯にサービスを提供するまでに成長しました。その上に、ポータルサイトのヤフーがあり、さらにその上に音楽・スポーツ・ファイナンスといった様々なコンテンツが軒を並べている。それがソフトバンクの八百社の治め方です。 この取り組みで、二十三世紀まで貢献できるといいと考えています。

そんな私が、自分の事業家としてのプランを打ち立てたのは十九の頃です。二十代で名乗りを上げ創業。三十代で軍資金を稼ぐ。四十代で一兆円以上を駆けたひと勝負をする。五十代で事業をある程度完成させる。六十代で次世代にバトンタッチする。それを人に言ったら「誇大妄 想だ」と散々笑われました。しかし大事なことは、誰がなんと言おうと、一直線にその志に向かっていくことです。

ただその際、自身の体力の限界を超える敗北はしないで下さい。長篠の戦いで織田軍の鉄砲隊に突っこんだ武田勝頼のように、状況を見て退却ができないリーダーは国を滅ぼします。逆に、織田信長のように天下を治めた名将は、得てして多くの退却戦を経験しています。確かに、 退却は苦しい意志決定でしょう。しかし、退却しても次のチャンスで攻めればいい。ソフトバンクも百社、すなわち百回退却しています。それでもしぶとく生き残っているのは、生き残るのに必要な体力を取られる負け方をしなかったからです。私は、体力の三割を失いそうだと思っ たら退却します。皆さんも自信を持って退却するために、生き延びられる範囲の体力を知っておいて下さい。私はあと四千二百社作るでしょうから、五百回は退却戦をするでしょう。覚悟してください(笑)。でも五千回挑戦し、三割以上の力を取られないようにすれば、夢は実現す ると信じています。おびただしい退却戦をしつつも生き残った事業家、それが私にとっては一番嬉しいほめ言葉です。

「デイリーファッション革命、しまむらの挑戦」しまむら 藤原秀次郎会長
 
 
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