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ファストリ柳井正会長兼社長に続け!難民の子への学習を支援、未来を感じさせたい

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

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ファストリ柳井正会長兼社長に続け!難民の子への学習を支援、未来を感じさせたい

ファストリ柳井正会長兼社長に続け!難民の子への学習を支援、未来を感じさせたい

(左から城間千佳野FR財団総務部長、石田吉生FR財団事務局長、中央がシリア難民のラーマ・ジャマール・アルディーンさん、矢崎理恵さぽうと21コーディネーター、野沢慎司・明治学院大学教授)

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が創設した「ファーストリテイリング財団」(以降FR財団)は、先般「難民子女のための学習支援教室」を港区の明治学院大学で実施、メディア向けに公開した。

 柳井正氏が理事長を務める同財団は2018年に設立後、さまざまな支援活動を実施している。その支援活動のひとつとして、日本在住の難民の小中学生、高校生を対象にその学力を向上させ、全日制高校・大学への進学や将来の選択肢を広げることを目的としている。
 支援スキームとしては、福祉法人「さぽうと21」が難民からの相談窓口や教室運営を行い、明治学院大学が学習支援教室や学生ボランティアなどを提供。3者が力を出し合って継続してきた。


 好んで難民になったわけではない

 以前から世界の難民たちに関心を寄せていたという柳井理事長は、難民支援を行う理由について、「難民の方は好んで母国を出たわけではない。難民問題は全世界で取り組むべきだ」とコメント。
 さらに日本に居住するさまざまな背景を持つ難民の方の子どもたちに、「未来があることを感じさせてあげたい。小学校・中学校が未来を決める大事なときだと思う」とコメントしている。
 FR財団の石田吉生事務局長は「当初はどこに何人くらいの難民がいるのか実態が把握できず大変だった。ここまで続けてきた知見を活かして、今後は行政や地域と連携して対象地域も拡大したい」と語った。
 この支援活動は、東京・錦糸町での毎週日曜日の対面教室に加えて、オンラインでの教室を実施、春・夏休みには集中学習教室を開催。
 FR財団はこの活動に2020年度は1050万円を支援している。
 現在は61人の難民が受講しているが、出身国はミャンマー45人と一番多く、次いでシリア6人、エジプト5人、アンゴラ、アフガニスタンとコンゴとウガンダの出身者という。
 さぽうと21は1979年から日本で暮らす難民などの教育を支えてきた。矢崎理恵氏は、「やむを得ず日本に逃れてきた難民の多くは、子どもにはしっかりした教育を受けさせたいと考えている。彼らは日本にとっても貴重な人材になっていくと思う」と語った。こうした支援活動を継続してきたことで、現在は進学校、大学に進学する子も増えているという。
 この日は教室の卒業生代表として、明治大学2年生のシリア難民のラーマ・ジャマール・アルディーンさんが出席。小学6年生で来日したころを振り返り「来日したばかりの頃は支援がなく偏見も強く、日本語と文化の壁が大きかった。ボランティアの方が学習をサポートしてくれたことで、精神的に大きな支えになった。今後は私も貢献したいし、応援する側になりたい」と力強く宣言した。
 ファストリの経営者として辣腕を振るう柳井氏だが、一方、自ら財団を創り、難民支援にまで乗り出す懐の深さには感動するばかりだ。2022年始まったばかりだ。小さな一歩からでも柳井氏に続きたいものだ。

(2021/12/25 三浦)

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