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【第21回企業家賞】HEROZ 代表 林 隆弘 

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

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受賞者の喜びの声 AIの社会実装を目指す

受賞者の喜びの声 AIの社会実装を目指す

(企業家倶楽部2019年10月号掲載)

  

 本日はこのような賞をいただき、まことにありがとうございます。

 私は元々ITの分野で起業したいと考えていて、前職の会社で同期1000人の中でもピカイチに輝いていた高橋を誘い、2009年に創業しました。HEROZという会社は、社名の通り「一人でも多くのヒーローを生み出したい」との想いを掲げ、体現しています。

 私は子どもの頃から将棋が大好きで、6歳から将棋に打ち込んでおりまして、羽生善治先生にも2回ほど教わったことがあります。このような縁もあり、いかに自分が強くなるかを考えた結果、AIを活用しようとの思いに至ったことが、その後の会社設立と事業に大きな影響を及ぼしました。

 創業当時は「AIでは飯が食えない」と言われる黎明期で、教授の皆さんもAIや人工知能という言葉をあえて伏せるような時代でした。正直、私たちが開発している技術は「本当に使えるのか」と疑いの目を向けられることが多かったのです。

 そこで私は「大好きな将棋で対戦プラットフォームを作ってみよう」と考え、12年に「将棋ウォーズ」というオンライン対戦プラットフォームを完成させました。このゲームではなんと、120円払うと名人を超える手を5手だけ指すことができます。これで何とか食いつなぎ、現在ではこのB2C事業で収益を上げて、将棋の対戦プラットフォームで7~8割のシェアを誇っています。

 さらに今では、B2B向けにも私たちのAI技術を提供しています。例えば金融業界ではSMBC日興証券、建設業界では竹中工務店、ゲーム業界ではバンダイナムコエンターテインメントなど、数多くの提携を結び、それぞれ強みを持つ分野で活用していただいています。

待ちに待ったAI革命時代

 私たちは15年から「AI革命を起こし、未来を作る」というビジョンを掲げてきましたが、当時は「AI革命」などと言う人はいませんでした。社員や役員も「大丈夫ですか」と懐疑的でした。今でこそAIという言葉が浸透しましたが、黎明期からここに賭けていたので、非常に感慨深いものがあります。

 ちなみにNHKスペシャルで将棋AIがニュースになった時には、「天使か悪魔か」というタイトルで、「AIは敵か味か」という議論がされていました。現在はそのような議論は無くなり、AIは人手不足問題や働き方改革に貢献するツールであるというのは誰もが疑わない事実になったと考えています。

 今後も目先の収益にはこだわりません。培ってきたAIの技術が5年後、10年後に社会実装され、やがてAIと呼ばれないくらい皆さんの生活に浸透する世界を目指して、日々仕事に当たってまいります。

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