MAGAZINE マガジン

【核心インタビュー】ジェイアイエヌ代表取締役社長田中 仁氏

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

企業家倶楽部アーカイブ

世界を舞台にメガネ業界に革新を起こす

(企業家倶楽部2014年6月号掲載)

 現在国内に約270店舗を展開し、海外進出も果たしているメガネ業界の雄ジェイアイエヌ。累計販売数250万本を誇る「JINS PC」のような消費者のニーズに合わせた低価額・高品質のメガネと「ドライブスルーJINS」といった斬新なアイデアを武器に急成長を遂げている。海外からも優秀な人材を積極的に採用し、近日アメリカに店舗拡大を狙う。今回はそんな同社を率いる田中仁社長に今後の戦略について語っていただいた。

 聞き手:企業家ネットワーク社長 徳永卓三


信頼できる社員に現地を任せる

問 御社は今までに無い新しい機能を備えたメガネで売上を伸ばしていますが、現在は年間何店舗ほど展開しているのですか。

田中 国内では、今期は60ー70店舗です。海外も含めると、年間約100店舗を新しく作っていくことになると思います。

問 海外ですと、現在は中国で店舗を運営されていますが、これからアメリカにも展開していくと伺いました。

田中 はい。5年後には海外が日本を上回るマーケットになっているでしょう。

問 そのときの店舗数はどれほどになっていると予想していますか。

田中 アメリカに関しては、5年後に100店舗を目指しています。中国は2年後に100店舗、そこから更に3年で300ー400店舗くらいまで増やすつもりです。その間に東南アジアやヨーロッパにも進出していく可能性を考えると、予想ができませんね。

問 人員や立地などの問題はどのように解決していきますか。

田中 現地を任せられるような、経営者としての当事者意識がある人材を育てていきます。現在執行役員は2人いますが、1人には中国を任せていて、もう1人は今度アメリカに行く予定なので、その他に任せられる人間を育てる必要があります。そこが最も難しい問題ですね。

問 どのような人材が任せられる経営者ですか。

田中 何よりも、信頼関係ができている人です。「誰と」仕事をするかが一番大事だと思っていますので、この人ならば大丈夫だと確信した人にこそ海外地域を任せます。

問 なるほど。田中社長の「信頼できる基準」とは何でしょう。

田中 個人の視点から物事を判断するような、私利私欲に走る人は信頼出来ません。お金の使い方が綺麗であることは当然として、会社全体の視点から物事を判断する人を育てたいと思います。

英語化の波は避けられない

問 海外に進出するとなると、外国人の社員が増えるのではないですか。

田中 まさに今、積極的に採用しています。社内に外国人が増えつつあることについては関心がありますね。アメリカに進出するので、優秀な大学や大学院を卒業した白人、黒人、中華系アメリカ人と一緒に机を並べることが多くなりました。もちろん中国人もいます。その他、この春からシンガポール、タイ、マレーシアから現地の最高学府を卒業した学生が入社してきます。会社のグローバル化が進み、英語を話すことが普通になりつつある。変化は速いですね。

問 社内での公用語が英語になっていくのですね。

田中 日本語だけではコミュニケーションが取れないので、英語を話すことは避けられません。日本人は能力が高いのに、英語でのコミュニケーションを取れないがためにずいぶんと損をしているので、もったいないと思います。世界を舞台に大風呂敷を広げる

問 海外の方と話す際に通訳を介すると、目を見ないので本人と話しているように感じられなくなってしまいます。片言でも相手と直接話した方がいいですね。そうすると自然と英語が話せるようになっていくのではないでしょうか。

田中 経営者の皆さんも、どんどん成長していますよね。その中でもソフトバンクの孫正義社長はすごい。日本だけでなく世界の中においても稀な才能を持つ企業家だと思います。

 先日、シリコンバレーに行って聞いた話ですが、優秀な人は多くてもビジョナリーな経営者が少ないと言います。孫さんは常人の3歩先を見て事業を進めるというところがビジョナリーなのではないでしょうか。100年単位の話をされるなど、事業としてのビジョンが大きいからこそ、あれほど大きな企業に成長したのでしょうね。

問 孫さんは世界一の携帯会社を目指しているようです。そのためには、4億人のユーザーがいるチャイナモバイルを抜く必要があります。たとえアメリカで1番になっても、その約2.5倍のユーザーを獲得しなければ、中国を抜いて世界一に躍り出ることはできませんからね。

田中 孫さんの才能は本当にすごいですよね。アリババ創業者のジャック・マー会長に投資したのには驚きました。現代の坂本竜馬だと思います。

問 アリババは時価総額が約10兆円と言われていますが、孫さんはその株式の36・7%を持っているそうです。20ー30億の初期投資が3兆7000億円くらいの資産に大化けしたことが、アメリカ進出を可能にしているのでしょう。

田中 あれほどの才能を持つ人が私とほぼ同世代ということに驚きを隠せません。

問 孫さんがソフトバンクを創業してまだ3?4年の頃にお会いしたことがあります。その頃は年間の売り上げが50億円ほどでしたが、彼の構想には圧倒されました。当時から壮大なビジョンを描いていましたね。経営者たるもの、孫さんのように大風呂敷を広げるべきです。

田中 ただの大風呂敷ではなくて、実を伴ったものにしたいですね。私もこれからまだまだ面白いことができそうです。単に海外へ出店するというだけではなく、メガネそのものに革新を起こしていくことを考えています。我々はこれから世界初の事柄にも挑戦していきます。自分で言うのもなんですが、5年後10年後にはより爆発的な成長を遂げていると思います。

問 田中社長の手腕を信じています。孫さんに負けず、真っすぐな杉の大木のように成長していただきたいですね。

田中 あの方はマスメディア上でしか拝見しませんが、何か判断をする時に、孫さんやユニクロの柳井さんならばどうするだろうと考えると大局的に物事を見られます。非常にありがたい存在です。

問 田中社長には、孫さんを始めとして、セコム創業者の飯田亮さん、日本電産の永守重信社長、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄会長など、日本を代表する企業家の方々と肩を並べて欲しいと思っています。

田中 ありがとうございます。世界に通用するグローバルな企業を目指していきます。

一覧を見る