会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。
(企業家倶楽部2018年4月号掲載)
1999年から続く企業家倶楽部の企業家賞が今回第20回を迎える。
大賞の顔ぶれを見てみると、澤田秀雄H.I.S社長(第1回)、西川清パーク24 社長(第2回)、矢内廣ぴあ社長(第4回)、増田宗昭カルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)社長(第5回)、柳井正ファーストリテイリング会長(第6回)、孫正義ソフトバンク社長(第7回)、永守重信日本電産社長(第8回)、篠原欣子テンプスタッフ社長(第9回)、似鳥昭雄ニトリ社長(第11回)、三木谷浩史楽天社長(第12回)、髙田明ジャパネットたかた代表(第16回)、石川康晴ストライプインターナショナル社長(第18回)、熊谷正寿GMO社長(第19回)など、疑いなく現代日本を代表する企業家のほとんどが顔を揃えている。
特筆したいのは、ここで選出された企業家たちのビジネスが、日本人のライフスタイルを大きく変えた点である。海外旅行を身近にしたH.I.S、日本にコインパーキング社会をもたらしたパーク24、さらにレンタルビデオや図書館革命を牽引してきたCCC蔦屋書店、日本ばかりか世界の服飾革命をリードしてきたファーストリテイリング・ユニクロ。「お値段以上」を合い言葉にインテリア革命を大きく進展させたニトリ、メガネフレームだけでなくPCメガネ、花粉対策メガネ、モイスチャーメガネなど機能性メガネの可能性を開いたJINS。そして日本中の通販ファンを熱くしたジャパネットたかたや派遣スタッフの社会的価値を高めたテンプスタッフ。こうした企業家たちがわれわれ日本人の生活をどれだけ便利に、豊かに、愉快にしたことだろう。彼らこそ社会に新しい価値を生んできたという点で、文句無しのイノベーターたちなのである。
また、いち早くソフトウェアの重要性を見抜き、インターネットの革新性と携帯電話の革命性を推進してきたソフトバンク、日本にEコマースを定着させた楽天、インターネットの裏方を自認しつつ巨大ネットグループとなったGMO。彼らがいなければ日本のインターネットはここまで成長しなかったろう。さらに強調したいことは、2008年の第10回大賞に中国アリババのジャック・マーCEOを選出していることである。いまや中国ばかりか世界のEコマースを席巻するアリババの革命性を、本企業家賞はいち早く見抜いていたのである。
ただ、残念なのは企業家賞審査委員長を務めたこともある日本電産永守重信社長が言い続けてきた、「日本の得意芸である製造業やエレクトロニクスを牽引する新しい企業」が日本電産と島精機製作所以外に受賞していないことである。今後、AIやIoTさらにはバイオテクノロジー分野で世界を驚かす企業家たちが出現することを祈って20周年の回顧としたい。