会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。
(企業家倶楽部2013年6月号掲載)
ネットオフは中古の本やCDなどの買い取りと販売を、宅配便サービスを利用して行う会社の元祖です。中古品の買取と販売を取り扱うオンラインサービス業を切り拓いてきたという自負があります。
リデュース・リユース・リサイクルの3Rは成長産業です。その中でもリユースは特に伸びており、市場は一兆円を超えています。新しい成長産業なので、思いもよらぬ規制を受け、行政対応に追われてしまうこともあります。先日は、社会問題にもなっている訪問買取の規制について経産省に掛け合いました。お年寄りなどを狙った悪質な訪問買取が急増し、貴金属や着物などの高級品を極端に安い値段で買い取るのです。強面の人間が居座り、もっと金目のものを出せ、と指にはめている指輪まで、驚くような安値で持って行ってしまう。業界では押し売りならぬ、押し買いと呼ばれています。この悪質な訪問買取の対策として、全ての中古品の訪問買取に対してクーリングオフが導入されることになってしまいました。問題の起きていない本やCDなど数品目に関しては対象から外してもらうように経産省に掛け合い、今年2月の施行になんとか間に合いました。全品目対象のまま施行されてしまったら、買い取った商品はクーリングオフのため8日間は販売することができなくなってしまいます。
また忘れもしない、東日本大震災の起きた日。私は古物営業法の改正についてパブリックコメントと署名をとりまとめ、警視庁に向かっていました。万引き品の中古買い取り・流通が社会問題になり、少額取引でも規制が厳しくなったのです。施行ギリギリでしたので、大地震直後で混乱している都内を警視庁へ必死に走りました。なんとか担当の方とお会いして理解していただき、対応していただきました。そのまま施行されれば私たちは事業を諦めなければならないくらいの大問題でした。
薬のインターネット販売の問題もありましたが、新しい業態で何か問題が発生すると、とりあえず全部規制してしまえという風潮があります。リユース、リサイクル業は大量消費社会から真の循環型社会を目指し、今後どんどん伸びていきます。法律に頭を抑えつけられ成長できなくなってしまうことのないよう、業界としてもっと声をあげていき、行政に理解を求めていかなければならないと考えています。
新しい業態・サービスを切り拓き、成長し続けることは容易ではありません。その中で嬉しいことがありました。2月に日本フィランソロフィー協会の、第10回企業フィランソロフィー奨励賞をいただきました。これは弊社のスマイル・エコ・プログラムを評価していただいたのです。買取代金お支払いの際、代金のうちから寄付をしませんかとご案内するプログラムです。額はお客様に自由に決めていただき、寄付先は自然保護や災害支援などいくつかのジャンルから選んでいただきます。2007年からはじまり、これまで5万人以上、5千万円ほど寄付することができました。本業の買取の中に寄付を組み込み、買い取りを頑張ることによって寄付金が集まるという、リユースと社会貢献を同時に行えるモデルです。NPOはどこも寄付金集めに苦労しています。例え100円でも、自分の財布からカネを出す行為は敷居が高い。不用品をリサイクルに出し、買取代金を受け取る時に行える寄付は、参加しやすいようです。寄付や社会貢献に興味のなかったお客様にもご利用いただいており、これからも推進していきます。