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東京NBC主催「スタートアップ・メンタリング・プログラム」でONE ACT浅野代表が優勝

会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。

トピックス

ONE ACT 浅野裕亮代表

東京ニュービジネス協議会(以下NBC)は、3月6日『第11回スタートアップ・メンタリング・プログラム』決勝大会を開催。2022年度6月・9月・12月の予選で勝ち抜いた6社がピッチを実施、株式会社ONE ACT 代表取締役 浅野裕亮氏が最優秀賞に輝いた。NBCでは2019年からこのプログラムを開催、優秀な企業を支援・表彰しているが、毎回素晴らしい企業が登場、日本のスタートアップの活性化に貢献している。
 (リポート副編集長 三浦千佳子)


■6社が決勝大会に出場
この日は日本橋高島屋別館のオルクドールにNBC会長で㈱クリーク・アンド・リバー社社長井川幸広氏をはじめ、NCB副会長でこの『スタートアップ・メンタリング・プログラム』委員会会長の㈱Ubicomホールディングス社長青木 正之氏ら、多くの関係者が集まった。
2022年度開催の3回の予選大会には23社が出場したが、その中からこの日の決勝大会に進出したのは以下の6社である。

決勝大会に出場した面々(前列)と審査委員・メンター


●参加のピッチ企業
㈱ONE ACT 代表取締役 浅野裕亮氏
㈱ STANDAGE 共同創業者兼取締役副社長 大森健太氏
ICSnet ㈱ 代表取締役 小池祥悟氏
エンゲート㈱ 代表取締役 城戸幸一郎氏
㈱オーガンテック 創業者 辻 孝氏
AironWorks ㈱ 代表取締役 寺田彼日氏

■画期的なビジネスモデルで躍進するONE ACT
熱心な審査の上、最優秀に輝いたのは、㈱ONE ACTの浅野裕亮代表である。ONE ACTとはどんな企業なのか、ご紹介しよう。

2013年浅野代表が創業したONE ACTは、世界初のAI搭載ソースコードマーケットプレイス「PieceX」を開発・運営。ソフトウエア開発に必要なソースコード部品を売買するという画期的なビジネスを展開している。
既に世界市場に進出、高評価を得ている。浅野社長はソフトウエアを一から自社で開発するより、既存のものを利用した方が、開発にかかるコスト・時間・人材確保等を大幅に削減でき、生産性が劇的に向上すると熱く語った。
売買するソースコード部品としては、簡単なものから高度なシステムまでさまざま。1万円ぐらいから2.000万円ぐらいのものもあるという。例えば、Uber Eatsのようなデリバリーシステムを開発するとしたら、一からシステムを自社開発するには、開発コストは3.000万円で、開発時間は100日かる。しかしONE ACTの「PieceX」を利用すれば、開発コストは180万円と94%削減、開発時間は5日間と95%削減できるという。このケーススタディに会場はどよめいた。

デリバリーシステム開発のケーススタディについて熱く語る浅野代表

「日本人はなんでも一から自社開発を好む傾向が強いが、これからはソフトも部品の一つとして売買、利用するのがベター」と訴える。
この画期的なビジネスモデルは日本より、世界で評価され数々の賞を獲得している。2023年のアワードではインド、イギリス、米国で最も影響力のある企業として表彰されている。日本では“インデペンデンツクラブ大賞”で年間グランプリを受賞。また世界最大級のピッチコンテストSupernovaでファイナリストに選出、世界で高い評価を獲得。また中東アフリカ最大のピッチコンテストSupernova 2022 AI Innovator ファイナリストに選出されている。
既に世界170か国で取引実績があり、登録ユーザーは8万社で、累計取引回数は55.000回という。
こうしたユニークなビジネスモデルを事業化した浅野代表は、新卒でキーエンスに入社、約8年間セールスやマネジメントに従事。その後WEBサービス企業、SIerの2社の事業立ち上げを統括。2013年ONE ACTを創業、2021年英国にOne Act UK、米国にOne Act USを設立し、3社のCEOを務める。「ソースコード売買システム」「AIを使用したソースコード売買システム」はビジネス特許を取得している。
浅野代表は、PieceXで高品質ソースコード売買の新しい経済圏を世界に作り、 それによって世界の知的リソースを誰でも利用でき、素晴らしいビジネスが誕生する世界を創造、グローバル社会に貢献したいという。
 画期的なビジネスモデルで世界に貢献したいと語る浅野代表のピッチは、審査委員や参加者の心を揺さぶり、最優秀賞を獲得した。

井川会長からトロフィーを授与される浅野代表


■審査委員・メンターが支える
ところでNBCのこのプログラムは審査委員・メンターのメンバーが豪華なことで知られる。参加企業はこうしたメンターに出会えるだけでも価値あるとして、エントリーするケースもあるという。
モデレーターとして毎回情熱を込めて進行しているのは副会長の青木正之氏だ。青木氏の人柄、温かい目線が参加者を励まし、このプロジェクトを熱くしている。
そして多忙なスケジュールを調整し、兼審査員・メンターを務めているのは以下の面々である。

1社ごとに「投資したい」「もっと話を聞きたい」のカードを掲げる審査委員の面々


NBC会長で㈱クリーク・アンド・リバー社井川幸広社長、㈱MS-Japan有本隆浩社長、㈱エスクリ会長岩本博氏。㈱エアトリ大石崇徳会長、㈱カナミックネットワーク山本拓真社長、㈱識学安藤広大社長。

 6社のピッチ終了後、井川会長、青木委員長、ボードウォーク・キャピタル㈱代表の那珂通雅氏の鼎談が行われた。
いずれの企業も予選時よりも事業が格段にブラッシュアップされてこと。業績や成長が著しく伸びており、審査が難しいとの本音が語られた。そして結果の優劣に関係なく、成長性にあふれ、国内IPOはもとより、海外市場での上場の可能性も期待できる素晴らしい企業が集まったと評した。

鼎談する左から青木氏、井川氏、那珂氏

浅野代表にはNBC井川会長からトロフィーと、シリコンバレーのアクセラレーションプログラム参加の機会が那珂氏より提供された。

今回は協賛企業として野村証券、SMBC日興証券、SBI証券、東海東京証券、香川証券、Jトラストグローバル証券、三井住友信託銀行が参加、またいつもながらfabbitが協力、後援として経済産業省関東経済産業局が名を連ねた。
NBCの本イベントは、2019年度よりスタートしているが、IPOを目指すリアルネクスト企業を応援するイベントとして定着、日本経済を活性化するプロジェクトとして注目度も高まっている。ピッチ企業同士の協業やメンターからの投資、業務提携などの実績も着実に増えているという。NBCの次世代を担う企業発掘として、このプロジェクトに対する期待は大きい。
2023年度も「スタートアップ・メンタリング・プログラム」を開催予定で、既に募集が始まっている。NBCは「起業家と企業の成長を支える団体」として1985年に創立されたが、さまざまな活動で日本経済の発展に貢献、その活躍が期待されている。

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