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『日本サブスクリプションビジネス大賞2023』に輝いた面々

昨今、さまざまなサブスクビジネスが登場、生活を便利に豊かにしていることは周知の事実だ。2023年12月7日、2023年の最も優れたサブスクサービスを表彰する『日本サブスクリプションビジネス大賞2023』表彰式が開催された。

今回は第5回目となるが、約150社を超える応募企業から、グランプリ、シルバー、ブロンズ、優秀賞、テモナ賞など13のサブスクビジネスが表彰された。

主催は一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会(以下サブスク振興会)だ。同会では毎年サブスクビジネスの更なる活性化を目指し、優れたサブスクビジネスを表彰している。審査基準は『お得』『悩み解決』『便利』『新規性』『成長性』『安全性』の6つの要素で厳正に審査された。

左はサブスク振興会新会長美園直人氏

猫の見守りトイレサービス「トレッタ」

グランプリは「toletta」

グランプリに輝いたのは猫の見守りトイレサブスク「toletta」である。これは㈱トレッタキャッツが提供する、猫の体重やトイレの頻度をもとに健康管理ができる「スマートトイレ」サービスである。獣医師と共同開発したAIで猫の毎日の体調をチェックできる。猫は泌尿器の病にかかりやすいが、この見守りトイレは非常に高い精度で猫の病気が早期発見できる。顔認識カメラを搭載しているため、多頭飼いでも1台でOKという。毎日の健康管理をチェックできることは画期的で、「猫も人も幸せにするサービス」として今後の進化、市場規模拡大が期待される。

シルバー賞に輝いた「Sakuraco」

シルバー賞に輝いたのは、海外向け日本のおやつBOXサブスク「Sakuraco」である。㈱ICHIGが手がけるもので、日本全国で親しまれている老舗メーカーの和菓子やお茶など、メーカーとの共同開発商品をオリジナルボックスに詰め合せ、毎月世界180の国と地域に届けるサブスクだ。自治体と連携、中小企業の海外販路拡大にも尽力、お菓子で地方創生し日本を元気にしている点が評価された。



ブロンズ賞に輝いた「「Fishlle!(フィシュル)」

ブロンズ賞に輝いたのは㈱ベンナーズが手がける国産天然魚のサブスク「Fishlle!(フィシュル)」である。最大の特徴は味には全く関係のない理由で、行き場を失っている「未利用魚(みりようぎょ)」を活用している点だ。春夏秋冬、旬の魚を美味しく味付けし、真空冷凍パックで自宅まで届ける。フードロスの削減や、SDGsへの関心の高まりから、会員数は既に1万人を突破している。

 

■特別賞は8社

 

今回は8社が特別賞を獲得した。サービスと企業名は次の通り

・AnotherADdress/㈱大丸松坂屋百貨店 (200を超えるデザイナーブランドの中から自由に選んでレンタルできる百貨店業界初ファッションサブスクサービス)

 

・アリススタイル/㈱ピーステックラボ (月々3,880円で、生活家電、美容家電など800種類以上から気軽に使える)

 

・Casie/㈱Casie (月額2,200円からアートをレンタルできるサブスク。約14,000点以上のアートから好みの作品を選べる)

 

・narasu/株式会社ローディアム (SpotifyやApple Musicなどの音楽配信ストアへ、楽曲の登録を代行するサービス)

 

・Pan&/㈱スタイルブレッド (焼きたてを急速冷凍したプティパンを毎月お届け)

 

・冷凍幼児食mogumo/㈱Oxxx (レンジで3分温めるだけで管理栄養士監修の美味しい幼児食が完成する幼児食の冷凍食品サブスク)

 

・LIFT/㈱The Three Arrows田谷漆器店 (輪島塗や江戸切子日本全国の伝統工芸品を手軽な月額料金でレンタルできるサービス)

特別賞に選出された8社の面々

そしてテモナ賞にはサカナDIYの㈱ふく衛門が、魚専門ミールキットのサブスクとして。サブスク振興会特別賞には横河レンタ・リース㈱が手がけるCotoka for PCが選ばれた。これは企業が使うPCをサービスとして提供するDevice as a Serviceで、管理者の負担を排除しつつ、利用者に快適なPC利用環境を提供するというもの。

2023年も総勢13社が表彰されたが、どのサービスも「お得」「便利」「新規性」など6つの要素を満載、お客様への新サービス提供に徹した点が評価された。

 

“教育・健康・食品”など業界が拡大

 今年のエントリー企業の傾向としては、大手企業の参入が増えたこと。また、スタートアップ企業も、これまでは創業間もない企業が多かったが、今年はミドル期の企業からの応募が増加したという。これは、サブスクのビジネスモデルが、世の中に浸透し、当たり前になってきた傾向かもしれないと新会長の美園直人は語る。

また、昨今のサブスク市場は、エンターテイメントの分野だけではなく、教育・健康・食品など、さまざまな業界に拡大。今年はペットやアート、ファッションや日本の伝統文化、子育て支援など、多岐にわたるサブスクサービスが人気で、便利さはもとより、生活を根本から変革するようなサービスが出現した。

サブスク市場は1兆円規模に

 消費者の購買行動が“所有から利用へ”とシフトしてきたことを背景に、手軽に安価に試すことができるサブスク市場は、急速に拡大している。国内の市場規模は右肩上がりの成長を続け、矢野経済研究所の調べによると、2020年は8,692億円、2021年は9,615億円となり、2022年には1兆円を超え、今後もさらに成長すると予測される。

サブスク振興会ではサブスクビジネスの更なる活性化を目指し、2023年には「サブスビジネスに関するガイドライン」を策定、正しいサブスクビジネスの普及に努めている。

サブスク振興会について熱く語る新会長の美園直人氏

サブスク振興会の会長は1年毎に交代するが、他の理事も含め皆手弁当で奮闘しているという。サブスク振興会のこうした頑張りのおかげで、日本に多岐にわたるサブスクビジネスが浸透してきたことは事実だ。理事の面々の熱い志と行動力に感謝したい。

そして2024年はどんなサブスクビジネスが登場するか、楽しみだ。

(副編集長 三浦千佳子)

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