会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。
優勝した㈱Stayway佐藤 淳代表
東京ニュービジネス協議会(以下NBC)は、2025年3月12日、『第19回スタートアップ・メンタリング・プログラム』決勝大会を開催した。この日は2024年度6月・9月・12月の予選で勝ち抜いた6社がピッチを実施。㈱Stayway佐藤淳社長が最優秀賞に輝いた。NBCでは2019年からこのプログラムを実施、優秀なスタートアップ企業を支援・表彰しており、今年で6年目となる。年々素晴らしい企業家が登場、日本のスタートアップを沸かせている。 (リポート副編集長 三浦千佳子)
決勝大会に出場した6人の面々(前列)と後列審査委員・メンター
■6社が決勝大会に出場
この日の会場は東京・日本橋の「オルクドール・サロンTOKYO」。NBC会長で㈱クリーク・アンド・リバー社会長井川幸広氏はじめ、NCB副会長でこの『スタートアップ・メンタリング・プログラム』委員長で㈱Ubicomホールディングス社長青木 正之氏ら、多くの関係者が集まった。
2024年度の3回の予選を勝ち抜いた 6社が今回の決勝大会に出場したが、以下の6社である。
・ 株式会社Stayway 代表取締役 佐藤 淳 氏
・ 株式会社Deepreneur代表取締役 澤田 悠太 氏
・ 株式会社GrandCentral代表取締役CEO 北口 拓実 氏
・ 株式会社4DIN代表取締役 高橋 精彦 氏
・ Terra Motors株式会社創業者 徳重 徹氏(代理 翁詠傑氏)
・ 株式会社tuneX代表取締役 有本 匡男 氏
左から佐藤氏、澤田氏、北口氏、高橋氏、翁氏、有本氏
■優勝はStayway
決勝ピッチ大会が始まった。AIソリューションや医療情報プラットフォーム、セールスコンサルティングなど予選を勝ち抜いた俊英だけに、どの代表もレベルが高い。持ち時間一杯に自社の成長戦略を熱く語る。ピッチが終わると、すかさず審査員から鋭い質問が飛ぶ。メンターでもあるから、温かい応援の言葉も行き交う。それだけで出場者にとっては有難いだろう。今回は特に接戦になると予測されたが、熱心な審査の上、最優秀に輝いたのは、㈱Staywayの佐藤淳代表である。
さて1位に輝いたStayway(ステイウェイ)とはどんな会社なのか。
Staywayは「中小企業や地域のポテンシャルを開放する」をミッションに掲げ、2017年に創業。地域の活性化を願い、地方創生事業からスタートした。地域に耳を傾ける中で、補助金申請業務の課題に気づき、補助金クラウド事業を始めた。デトロイト出身の公認会計士により構成され、テクノロジーに強みを持ったプロフェッショナルファームである。
補助金活用を通じた経営支援DXサービス「補助金クラウド」を運営。国や自治体が提供する3,000種類以上の補助金を、統一フォーマットでデータベース化し、企業ごとに活用可能な補助金を自動抽出。さらに、AIを活用して申請書の草案を作成するSaasだ。
そもそも日本の国や自治体として補助金が3000種類以上もあるということには驚く。複雑で面倒な申請業務をテクノロジーにより効率化し、国内のすべての中小企業に等しく機会を提供。そして中小企業や地域がポテンシャルを開放することが創業の目的という熱い志を持つ企業だ。補助金の活用による企業成長の可能性や、当該サービスがもたらす経営支援の革新性が高く評価されたのであろう。
熱く語る佐藤代表
■7人の審査委員・メンターが支える
NBCのこのピッチ大会は審査委員・メンターのメンバーが豪華なことで知られている。参加企業はこのメンターに出会えるだけでも価値あるとして、エントリーしていると語るほどだ。
特にモデレーターとして進行役を務める委員長の青木正之の温かくて情熱的な姿勢が、このプロジェクトを成功に導いている。そして多忙なスケジュール中、審査員・メンターとして駆けつけ、時に厳しく時に温かく励ましてくれる方々には頭が下がる。
熱心に審査する審査・メンターの面々
この日も7人のメンターが駆けつけた。クリーク・アンド・リバー社 会長井川 幸広氏(NBC会長)、MS-Japan代表有本 隆浩氏、カナミックネットワーク代表山本拓真氏、鎌倉新書代表清水祐孝氏、識学代表安藤 広大氏、ZUU代表冨田和成氏、そして青木委員長を加え、7人の面々が審査に当たった。
6社の熱いピッチ終了後、井川会長、青木委員長、ボードウォーク・キャピタル㈱代表那珂通雅氏の3名で行われる鼎談もこのピッチ大会の名物だ。これも参加者にとっては楽しみの一つといえる。
「今回の企業もいろいろバラエティに富んでいるね」「どの企業も予選時より確実に成長し進化しているね」「伸びしろのある企業が多い」「どの企業もポテンシャルがある、今回も接戦だね」「ユニークなビジネスが多くほとんど差がない。どこも成功しそうだね」など本音が語られた。
鼎談する左から那珂氏、井川氏、青木氏
■結果発表
優勝した佐藤代表にはNBC井川会長からトロフィーと、那珂氏からはシリコンバレーのアクセラレーションプログラム参加の切符が贈られた。「シリコンバレーでプレゼンするときには、現地で日本の補助金システムについて説明しないと理解されないかもね」と那珂氏。日本では国や自治体から補助金を受けるにはそれほど大変なのか、という課題を提起しているというのも事実だ。いずれにしても中小企業の成長に貢献する企業が優勝を勝ち取ったことになる。
井川会長からトロフィーを授与されるStayway佐藤代表
佐藤代表は「大変嬉しい。補助金クラウドを通じて、スタートアップや中小企業の成長を支援し、日本の経済活性化に貢献していきたい。今後も、より多くの企業が補助金を活用できる環境を整え、持続的な成長を支援するために頑張りたい」と語った。
2位にはセールスコンサルティングGrandCentral 北口拓実代表が選ばれた。グランドセントラルは品質至上主義を掲げ、100名以上のセールスエキスパートを揃える、国内最大級のセールス・マーケティングに特化した会社である。クライアントは400社で、戦略マーケティング営業代行として重宝されている。 そして3位には医療情報プラットフォームの4DIN高橋精彦氏が選ばれた。
2位に選ばれたGrandCentral北口代表
今回も協賛企業として野村證券、SBI証券、東海東京証券、香川證券、岡三証券、三井住友信託銀行、協力企業としてfabbitが、そして後援として経済産業省 関東経済産業局が名を連ねた。
2019年度よりスタートした本イベントは今年で6年目となり、スタートアップを支援・鼓舞し、日本経済を活性化するプロジェクトとして定着している。最近はメンターからの投資、業務提携などの実績も増え、このピッチ大会に参加できることはスタートアップ企業の名誉ともなっている。NBCの次世代を担う企業発掘として、このプロジェクトに対する期待はさらに高まっている。
井川会長は、「今回は大変な激戦で、僅差だった。さまざまな分野に新しいビジネスが登場していることはすばらしい。NBCの会員数はもはや1000社に届く。企業を成長させていくには人脈が大きな力になる。NBCに入会してぜひ人脈を広げていただきたい」と語った。
挨拶する井川会長
4月には会員数1000名を超えた東京NBCが、本気でベンチャーを支援、日本経済の活性化に貢献していることは大変心強い。「起業家と企業の成長を支える団体」として、井川幸広会長就任以降、一段と活動が加速したことは間違いない。そして今般、青木副会長が会長に就任した。その数でアメリカに水をあけられている日本のスタートアップ企業だが、NBCの本気の支援と育成でさらなる発展が期待される。青木新会長の就任でNBCの益々の活躍が期待される。