会社名や組織名・役職・内容につきましては、取材当時のものです。
東京ニュービジネス協議会(以下NBC)は、2026年3月6日、第3回「起業から成功への道~革新―挑戦の先にある未来~」を開催、約300人が集結した。基調講演では㈱ロッテホールディングス代表取締役社長CEO玉塚元一 氏が登壇。『企業変革の要諦とロッテグループの挑戦』と題して講演した。 玉塚氏は6つの会社の経験から、ファーストリテイリングの成功の秘訣、リヴァンプの役割、ロッテグループの挑戦について熱く語った。
(レポート三浦千佳子)

基調講演する、玉塚元一 氏
■企業変革の要諦とロッテグループの挑戦
基調講演として登壇したのは㈱ロッテホールディングス代表取締役社長CEO玉塚 元一 氏。テーマは「企業変革の要諦とロッテグループの挑戦」だ。玉塚氏といえば学生時代はラガーマンとして活躍、ファーストリテイリングなど多くの企業を経験してきたことで知られる。
玉塚氏が大学卒業後海外で働きたいと入社したのは旭硝子(現AGC)だ。希望通り27歳でシンガポール工場に赴任、4年間で10億の売上を100億円へと成長させた。若かったが経営・事業共に本当に面白い濃密な4年間だったという。その後起業したいとAGCを退社、経営学を学びに米国へ。1990年代半ば日本に孫さんや柳井さんはいなかった。アメリカにはアントレプレナーがたくさんいたからだ。
■柳井氏と共に成長の礎を
帰国後1998年ファーストリテイリング山口本社に入社、2002年~2005年までは社長として奮闘した。当時は年商700億円程度で今のビジネスモデルはなかった。柳井さんが革新的だったのは、結論を見つけることだと玉塚氏。当時アパレル業界は水ものと言われ、非生産的と言われていた。そこで「自分たちで作って自分たちで売る」という製造小売業という事業モデルを創り出した。さらに「部品としての服」にフォーカス。柳井さんは「ベーシックカジュアルにフォーカスすれば日本一の会社になれる」と語っていた。今売れているものをどうやって100を1000に引き上げるか、徹底的に深堀り。そしてインナーなら女性用、東レと組んで素材こだわりなどアイデアが生まれた。次は異分子を入れたことだ。当時3000億円の壁を乗り越え、次のステージに行くには古参を整理する必要があった。異能が入れば革新が起こる。「過去の延長戦上で発想しない」柳井さんが強く語っていたことだ。
■ロッテのCEOとしての役割
2005年にファーストリテイリングを退社、リヴァンプを立ち上げた。リヴァンプはまさに革新集団だった。その後ローソンの社長として活躍。2021年にはロッテホールディングス代表取締役社長CEOに就任している
ロッテは1948年チューインガムの会社としてスタートしたが1964年チョコレートに参入、総合菓子メーカーはもとよりホテル流通など、今や8兆円企業として成長。重光武雄という天才経営者がいてカリスマゆえにチャレンジを阻害してしまう。私の役目は日韓の壁を取り払って掛算してグローバル展開することと玉塚氏。今はインドが好調という。

ロッテグループの成長について熱く語る玉塚氏
企業革新するためのリーダーの役割として①CEOにしかできない仕事をする。それは仕組みをつくり構造改革、文化をつくること。②悪しき文化にメスを入れる。これはボトムアップではできない。③目標と結論を決める。④経営はFACTを掘り進めること、誰が一番本当のことを知っているか把握する、⑤AIデジタルを徹底活用。これが構造改革のチャンスとなる。どこにどういう人が必要か、どう活躍してもらうかなど組織の構造が変わると力説、全部で10項目を挙げた。そして大切なことは気づける力だと。その基本は信頼。全ての答えは現場にあると結んだ。
■「第3回起業から成功への道」イベントに300人が集結
3月6日(金)17時。東京・京橋のTKPガーデンシティPREMIUM京橋には300人のビジネスパーソンが集結していた。東京ニュービジネス協議会(NBC)主催の第3回「起業から成功への道」が始まるのだ。これはIPO・M&Aを目指す経営者から、起業直後のアーリーステージ経営者までを対象とした成長支援イベントである。3回目となる今回のテーマは「革新 〜挑戦の先にある未来〜」。変化の激しい時代における経営の意思決定と実行のリアルに迫るというものだ。

挨拶するNBC青木正之会長
主催者のNBC会長の青木正之氏挨拶、アントレプレナー創出委員会委員長でNBC副会長の有本隆浩氏の挨拶で始まった。
基調講演を務めたのは㈱ロッテホールディングス代表取締役社長CEO玉塚元一 氏である。6つの企業を経験した玉塚氏のチャレンジングな内容は冒頭に紹介した通り。
■先輩上場企業家がアドバイス
続いて変化の時代に、経営はどう革新するか「世界を見据えた成長戦略と、上場オーナー経営者の意思決定とは」と題してパネルディスカッションが開催された。
パネラーとして登壇したのはNBC会長でUbicomホールディングス 社長CEOの青木正之氏、NBC副会長でMS-Japan会長の有本隆浩氏、ティーケーピー社長の河野貴輝氏が。ファシリテーターは識学社長の安藤広大氏が務めた。
市場環境の変化が激しくビジネスモデルの進化がかつてないスピードで進む時代に、経営者はどのような意思決定を行うべきか、をテーマに先輩経営者のリアルな体験談が語られた。また上場を目指す経営者へ熱いエールを送った。

熱く語る先輩経営者たち
■挑戦真っただ中の次世代リーダーが本音を語る
続いて「挑戦の解像度を上げろ〜次世代リーダーが起こす革新〜」と題してパネルディスカッションが行われた。パネラーとして㈱Unito代表の近藤佑太朗氏 ㈱栄農人社長の柳澤孝一氏、㈱SHONAI代表の山中大介氏が登壇。ファシリテーターはエスイノベーション代表の星野善宣氏が務めた。

㈱Unito代表の近藤氏
幼少期ルーマニア育ちの近藤氏は、複数の旅行系スタートアップで修行。ソフトバンクアカデミー会員を経て、2020年「暮らしの最適化の追求」をミッションに"帰らない日は家賃がかからない家"として日本初のリレントの会社Unitoユニットを創業。東京を中心に1,200室以上のサブスク住居「unito」を展開。暮らし方開発を提供している。コロナ禍で人々の暮らしに対する価値観が変わった。事業の壁は壁でない。条件が決まるだけと熱く語った。

栄農人(エナジー)の柳沢社長
柳沢氏は日本の農業・漁業に「エナジー」をミッションに、「ダサい」「きつい」「儲からない」という日本の農業イメージ払拭。農業は「食べる」を支えるカッコイイ職業として若者を取り込み確実な実績を上げている。JAを通さず直にスーパーに販売、しいたけ生産日本一を誇る。これを他の作物に横展開、顔が見える農作物を生産していくと決意を語った。事業の壁については、「壁だらけ」なのでこれを乗り越えることを楽しもうとチャレンジしてきたと語った。

㈱SHONAI代表の山中氏
三井不動産のディベロッパーから転身、経験も地縁もない山形県の庄内に移住し10万円で起業した山中氏。庄内平野に立つホテル「スイデンテラス」事業はもとより、人材、農業、教育という4つの領域に事業を拡げ、新たな発想で地元に新風を巻き起こす。会社設立から10年、さまざまな壁を乗り越えてきた山中氏は、どんな業界でも3%の支援者はいる。その3%を見つけることが大切と語った。
3人とも今まさにさまざまな壁に直面、打破してきたリーダーたちだ。各々が語る壮絶な体験は会場を巻き込み盛り上がった。
今回は特に革新をテーマに各人の挑戦の実態が熱く語られ、参加者にとって大きな学びとなった。盛りだくさんの内容だったが、あっという間に時間が過ぎた。今後もNBCを中心に学びの場が創出されることを期待したい。
